俺?CEOだよ。社員いないけど

めんどくさいことばかり考えている25歳起業家「黒なんとか」の日記。頭の整理のためにゴミを投下します。

【書評】村田沙耶香「きれいなシワの作り方 〜淑女の思春期病」【レビュー】



最近、どうも女流作家の本を読む機会が多いです。理由は明白で、今年から始まった「朝井リョウ・加藤千恵のオールナイトニッポン0」という、若手作家2人が担当する深夜のラジオ番組が面白くて仕事中とかに愛聴しているんですが、この2人が話す交友関係に面白い女流作家が多く出てきて「そんな面白い人たちがいるのか。じゃあ本を読んでみよう」となっているわけです。僕は元々平山夢明(あまり他人には薦めづらいグロい話ばかり書く人です)が一番好きな作家という男だったんですがねぇ...。で、今回読んだのは村田沙耶香「きれいなシワの作り方」という独身女性作家のエッセーです。元々ananで連載されていたものなんだそうですが、とてもananに載ってたとは思えないほど生活臭のする話ばかりで笑えました(アダルトグッズをどうやって捨てるか奮闘する話、など)。

たぶんバブル世代の女性が読んだら「なにこの枯れた辛気臭い女...」と言うかも知れませんが、僕には現代の女性の一面をリアルに切り取った話のように感じられて、笑いながらも真剣に色々考えながら読みました。一つ文句を言わせてもらうと、電子版も出してくださいマガジンハウスさん。


きれいなシワの作り方~淑女の思春期病
村田 沙耶香
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村田さんは、変だけど地に足ついた謎の人


最初に言っておくと、この村田さん、女性には珍しいSF寄りの話を書く作家で、数々の文学賞を受賞している素晴らしい才能の持ち主。詳しくはwikiなどを参照していただきたい。

 
そんな素晴らしい作家なのだが、少々ぶっ飛んでいる。エピソードを一つご紹介すると、ある飲み会で男が村田さん含む女性陣に対して「あなたたちと結婚したらどういうメリットがあるのか」と聞いたそうだ。まぁ「え、なにこいつ。何様」と思うのが一般的な反応だと思うが、そこは本題ではないので置いとこう。で、女性陣は「私は料理を...」とか「子供を産んであげられるかな...」などと答えたそうだが、村田さんは


「死んでたら気付いてあげられる...」

と答えたそうである。そして総ツッコミを受けながらも意外にこの答えは好評だったらしい。なんだそりゃ。おそらく村田さん自身30代半ばなので孤独死を意識して答えたのだろうが、変わった人なので表現が何か変だ。

もちろん、本に書いてあるのは変なエピソードだけではない。非常に共感できたのは、現役で「コンビニでバイトをしている」ということだ。村田さんは第一線で活躍する作家なので、もちろん生活のためではないだろう。サラリーマンの人からすると「お金あるのになんでバイト??」と思うかもしれないが、僕は痛いほど気持ちがわかる。というのも、フリーの職業というのは、どうしても社会との断絶が起きやすいのだ。僕も就職したことがなく、ずっと「どのくらい働いて、どのくらい休むのか。明日何をして、何をしないのか」といったことをほぼ独りで決断してきた。個人事業主時代と合わせると20歳からもう5年くらいそんな生活だ。その中で僕の生活のリズムを整えてくれたのは大学だった。村田さんにとってはコンビニなのだろう。作家だからといって、起きている時間ずーーーっと小説を書いていられるわけではない。そんなことをしていては壊れてしまう。経済的には不合理かもしれないが、コンビニのバイトだろうがなんだろうが社会とのつながりで自分を整えるということは大切だと僕は思う。それを素直に実行しているという意味で、僕は非常に好感を持った。何より良いのは、コンビニバイトに関しての文章からすごく楽しそうなオーラが出ていることだ。楽しく働く。こんな最高なことは他にない。


 

普通の30代女性はどうやって恋愛戦線を戦えばいいのですか


残念ながら、これには明確な答えがない。普通に働く、とくに美人というわけでもない30代女性は、どうやって最適な伴侶を見つければいいのだろうか。村田さんのエッセーにも度々結婚の話題が出てくる。なんせ男性と違い、女性は出産に関してはタイムリミットがある。焦りの度合いが、ちょっと違うのだ。

こういった、出会いが少ない女性が増えている昨今、それに合わせて増えてきたのは「出会い系サービス」だ(僕は出会い系という言葉が持つネガティブなイメージが嫌いなので、マッチングサービスと呼んでいるが)。僕の友達もチョコチョコ使っているらしい「Tinder」や「Omiai」といったサービスを、是非好奇心旺盛な村田さんにも使ってみてもらいたい。

前にも書いたが、女性には「自分と同等以上の能力」のパートナーを欲するという特性があると言われている。これが女性の未婚に影響している可能性は高いだろう。ただ、それが全ての女性に当てはまるかというとそんなはずもない。事実、村田さんがそのような願望を持っているようには読んでいて思えない。その代わり、彼女は「なんで結婚、そして出産する必要があるの?」という疑問を持っている。それは経済的にも自立した現代女性ならではの疑問であり、パンドラの箱だったのかもしれない。

「なんで結婚、そして出産する必要があるの?」という疑問を持つことが許されるようになった現代女性は、それに対する解答が得られないでいる。僕もよくわかっていない。日本だけでなく、世界全体が少子高齢化に向かっているのはデータでも明らかなのだ。解決策なんてなくて、人類は来るところまで来てしまったのかもしれない。

そんな重い話のエッセーじゃないんですけどね。どうも僕はそんなことを考えてしまった。とりあえずできることなら、人類には恋愛は何歳になっても自由にしていてほしい。俺もしたいし。村田さんもしたいって言ってるし。そこに結婚、出産があろうがなかろうが。

 

2016/07/20 追記
村田さん芥川賞受賞!!!すげぇ!!!!!!!!!!やったね!!!!!


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